人生は虹色
「先生に言われたわ」



無言の空気に耐えきれなくなった母さんは、ボソッと口にした。



「え?……何を?」



「仁に寄り添って、本音を聞いてあげてほしい。そして、応援してほしいって!」



今田がそんな事を言ってくれてたなんて、この時初めて知った。



「……お母さん、何も分かろうとしていなかったね!ホントごめん」



「……う、うん」



母さんの謝罪に何て返していいのか、

正直分からなかった。



でも、本当に今までの自分の考えが間違いだと認識し、後悔までする母さんを見ては、これ以上言う必要なんてなかったのだ。



「これからは遠慮せずに言って来い。したいことややりたいことがあるなら、仁のことを応援するから」



今日、初めて口を開いた父さんから力強い言葉をかけられる。



いつも短気で、頑固で、頭でっかちで。



そんな人間がどうしようもなく僕は苦手だった。



話したって、相談したって、怒鳴られるだけ。



自分が正しいと正当化して、

自分の間違いに気づけないまま、

最後には死んでいくんだと思っていた。



そんな父さんが僕のことを応援する?



何かの間違いかと思ったぐらい、今まさに家族が変わろうとしているのを肌で感じた。
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