人生は虹色
新しい景色
第二章
-新しい景色-
*
晩冬——
当たり前のようで、当たり前じゃない日常が戻ってきた。
朝起きたら『おはよう』が言えて、ちょっとしたことにでも『ありがとう』と感謝を伝えることができる。
何も知らない亨兄ちゃんから、
『家族の雰囲気、変わった?』
なんて不思議がられた。
航兄ちゃんも僕のことを気にかけてくれてたから、話した時には素直に喜んでくれた。
今までの居心地の悪さなんて忘れるぐらい、家族は格段に明るくなったと思う。
なんで今まで家族と向き合わなかったのだろうか?
今となっては不思議でしょうがない。
学校に行っては、
今田を見る目が変わっていた。
今までは、
担任の先生としか思っていなかった。
だけど今は、心から尊敬できる人。
こうも家族が変われたのも、
今田のおかげだから。
それに夏実のことだってそう。
三者懇談の時、
夏実が部活を辞めないでいいように、
説得してくれたらしい。
生徒のためなら、
平気で頭を下げられる。
本当に優しい先生だった。
将来のことなんて考えれなかった僕だけど、やりたいことが自ずと芽生え始める。
将来の夢、こんな人になりたいって思うようになったのも、今田の存在が大きかったはず。
そんな追い風が背中を押すように、
僕の高校生活を一変する出来事は起きた。
それは、
バスケ部入部だ。
当然、
入るつもりなんて更々なかった。
だけど、
僕の気持ちを変えた恩師と親友に出会い、
入部を決意する。