人生は虹色
「え?一ノ瀬だからイッチーじゃん!」



「それよりイッチー、バスケ部入れよ!」



3人の中の2人がやや強引に勧誘してくる。



この二人がバスケ部なのは知っている。



名前は井田《いだ》と神平《かみひら》で、

どっちも高校からバスケを始めたらしい。



下手な癖して上から目線が鼻につくけど、上手いこと言ってささっと諦めてもらおうと思った。



「いや、いいや!部活は入りたくないんだよね」



「なんでよ!あんなに上手いのに、バスケしないとか勿体無いって」



なかなか食い下がらない井田に、

神平も続け様にバスケ部に入るよう、

しつこく促してきた。



「そうだよ!うち一年、3人しかいないからさ。人たんねぇんだよね、イッチーいたら心強いからさ!頼むよ、ダメかなぁ?」



「いやーその……」



いやいや、

同い年が3人、未経験者ばっかり、

おまけに弱小校だとか終わってる。



入ったとしても、

一勝もできずに引退ですか?



それにバスケは5人でするスポーツだから、先輩達が引退して、もし後輩が入ってこなかったら、試合なんてできないぜ?



面白くない未来が頭をよぎり尚更、

入りたいとは思わなかった。
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