【シナリオ】華のJK、花屋のお兄さんにさらわれました!
episode.4
〇花屋・お昼時
比較的すいているため、2人で座って休憩している。
慎「スイートピー」
日向「えっと…門出」
慎「キク」
日向「うぅん、高貴…?」
慎「サクラ」
日向「んーと、初恋だっけ?」
慎「それはサクラソウ」
日向「うわぁぁ難しい!!」
惜しいけどな、と慎が言う。
日向モノローグ「ただ今私は、花言葉の勉強中です」
そろそろ涼しい風もだんだん熱を帯びてくる季節で、カウンターの隅には冷たい麦茶のペットボトルが置いてある。
といっても、2人が出会ってまだ2週間経ったくらいだ。
慎「全部覚えるのは無理だろうけど、覚えといて損はねぇからな」
日向「うぅ、ガンバリマス…」
立ち上がった慎は、荷物を取りに倉庫まで行ってしまった。
日向は貸してもらった花言葉の本をもくもくと読んでいた。
椿:慎の母親。おっとりとした優しい印象だが、怒らせると笑顔の圧が怖い人。
椿「こんにちは、お邪魔しますね」
日向「あっすみません!いらっしゃいませ…」
日向が本から顔を上げると、目の前に高そうな着物を汗一つかかずに着こなした美人が立っていた。
思わず見とれていると、声を掛けられる。
椿「あら、もしかして慎の彼女さん?」
日向「違います違います!!」
思いっきり拒否する日向に、そうなの?と首を傾げる椿。
日向「キキョウ…ですか?綺麗な着物ですね」
椿「本当?ありがとう。最近少し暑くなってきたから選んでみたのよ」
ニコニコと嬉しそうに日向に微笑む椿。
椿は白と薄い青の淡い色に、キキョウの花が咲いている涼しげな着物を着ていた。
椿「でも私、ここで働いてるのがあなたみたいな子でよかったわ」
日向「えっと、あなたは……」
さえぎるように慎が現れる。
慎「何してんだよ、母さん」
椿「あらいたの?慎」
日向(ん?"母さん"?)
頭にクエスチョンマークを浮かべた日向に、慎が言う。
慎「あぁ、この人は俺の母親の…」
椿「はじめまして。慎の母の、橘椿です」
おっとりとした笑みを向けられ、さらにびっくりする日向。
日向「え!お姉さんじゃないんですか!?」
日向のその言葉に、慎ははぁと息を吐く。
なんかまずいこと言ったか?と思う間もなく、椿が日向にぎゅうと抱き着いた。
椿「何この子!!こんなかわいい子慎の店になんて置いていけないわ!連れてかえっていい?」
慎「ダメに決まってんだろ。日向はうちの子だかんな」
椿「日向ちゃんっていうの?あったかくて素敵な名前ね」
そんな会話の真ん中で、慌てふためく日向。
慎は抱き着かれた日向をべりっと引きはがして、腕の中に抱えた。
それに日向は顔を赤くし、気づいた椿はふふ、と笑う。
慎「あんま褒めると母さん調子のるから禁止な」
日向「は、はい……?」
はたから見れば恋人同士みたいな距離の近さに、椿は「独占欲強い男は嫌われるわよ」とにっこりヤジを飛ばした。
慎「それで?今日はまたなんで怒ってんだよ」
日向(怒ってる?全然そんな様子はないのに…)
おっとりとした笑顔に「怒ってる」なんて言葉は似合わないけど、と不思議に思う日向。
椿「ちょっと旦那と喧嘩したから家出よ。それでスイセンでも送りつけようと思って」
慎「随分悪趣味だな」
日向「えっなんて意味なの?」
慎「"うぬぼれ"とか"自己愛"。皮肉だろ?」
その言葉と椿の表情の温度差に、日向はぶるっと震えた。
なるほど、確かにこれは怒ってる。
でも慎は慣れているからか、呆れたように言う。
慎「いつものことだろ。早く仲直りしろよ母さん」
椿「そうよね」
肩を落として答えた椿を見て、家出する前の自分を思い出す日向。
なんだかじっとしていられなくなって、日向は口を開いた。
日向「椿さん、実は私も家出中なんです!」
椿「えっ、そうなの?」
日向「はは、いろいろあって…」
でも、と日向は言葉を続ける。
日向「もう全部やだ~ってなったとき、慎さんが私をさらってくれたんですよ」
椿「へぇ、…慎が」
椿に視線を向けられた慎が、目をそらす。
日向「だから椿さん!今度は私が、あなたをさらってもいいですか?」
比較的すいているため、2人で座って休憩している。
慎「スイートピー」
日向「えっと…門出」
慎「キク」
日向「うぅん、高貴…?」
慎「サクラ」
日向「んーと、初恋だっけ?」
慎「それはサクラソウ」
日向「うわぁぁ難しい!!」
惜しいけどな、と慎が言う。
日向モノローグ「ただ今私は、花言葉の勉強中です」
そろそろ涼しい風もだんだん熱を帯びてくる季節で、カウンターの隅には冷たい麦茶のペットボトルが置いてある。
といっても、2人が出会ってまだ2週間経ったくらいだ。
慎「全部覚えるのは無理だろうけど、覚えといて損はねぇからな」
日向「うぅ、ガンバリマス…」
立ち上がった慎は、荷物を取りに倉庫まで行ってしまった。
日向は貸してもらった花言葉の本をもくもくと読んでいた。
椿:慎の母親。おっとりとした優しい印象だが、怒らせると笑顔の圧が怖い人。
椿「こんにちは、お邪魔しますね」
日向「あっすみません!いらっしゃいませ…」
日向が本から顔を上げると、目の前に高そうな着物を汗一つかかずに着こなした美人が立っていた。
思わず見とれていると、声を掛けられる。
椿「あら、もしかして慎の彼女さん?」
日向「違います違います!!」
思いっきり拒否する日向に、そうなの?と首を傾げる椿。
日向「キキョウ…ですか?綺麗な着物ですね」
椿「本当?ありがとう。最近少し暑くなってきたから選んでみたのよ」
ニコニコと嬉しそうに日向に微笑む椿。
椿は白と薄い青の淡い色に、キキョウの花が咲いている涼しげな着物を着ていた。
椿「でも私、ここで働いてるのがあなたみたいな子でよかったわ」
日向「えっと、あなたは……」
さえぎるように慎が現れる。
慎「何してんだよ、母さん」
椿「あらいたの?慎」
日向(ん?"母さん"?)
頭にクエスチョンマークを浮かべた日向に、慎が言う。
慎「あぁ、この人は俺の母親の…」
椿「はじめまして。慎の母の、橘椿です」
おっとりとした笑みを向けられ、さらにびっくりする日向。
日向「え!お姉さんじゃないんですか!?」
日向のその言葉に、慎ははぁと息を吐く。
なんかまずいこと言ったか?と思う間もなく、椿が日向にぎゅうと抱き着いた。
椿「何この子!!こんなかわいい子慎の店になんて置いていけないわ!連れてかえっていい?」
慎「ダメに決まってんだろ。日向はうちの子だかんな」
椿「日向ちゃんっていうの?あったかくて素敵な名前ね」
そんな会話の真ん中で、慌てふためく日向。
慎は抱き着かれた日向をべりっと引きはがして、腕の中に抱えた。
それに日向は顔を赤くし、気づいた椿はふふ、と笑う。
慎「あんま褒めると母さん調子のるから禁止な」
日向「は、はい……?」
はたから見れば恋人同士みたいな距離の近さに、椿は「独占欲強い男は嫌われるわよ」とにっこりヤジを飛ばした。
慎「それで?今日はまたなんで怒ってんだよ」
日向(怒ってる?全然そんな様子はないのに…)
おっとりとした笑顔に「怒ってる」なんて言葉は似合わないけど、と不思議に思う日向。
椿「ちょっと旦那と喧嘩したから家出よ。それでスイセンでも送りつけようと思って」
慎「随分悪趣味だな」
日向「えっなんて意味なの?」
慎「"うぬぼれ"とか"自己愛"。皮肉だろ?」
その言葉と椿の表情の温度差に、日向はぶるっと震えた。
なるほど、確かにこれは怒ってる。
でも慎は慣れているからか、呆れたように言う。
慎「いつものことだろ。早く仲直りしろよ母さん」
椿「そうよね」
肩を落として答えた椿を見て、家出する前の自分を思い出す日向。
なんだかじっとしていられなくなって、日向は口を開いた。
日向「椿さん、実は私も家出中なんです!」
椿「えっ、そうなの?」
日向「はは、いろいろあって…」
でも、と日向は言葉を続ける。
日向「もう全部やだ~ってなったとき、慎さんが私をさらってくれたんですよ」
椿「へぇ、…慎が」
椿に視線を向けられた慎が、目をそらす。
日向「だから椿さん!今度は私が、あなたをさらってもいいですか?」