愛する婚約者様のもとに押しかけた令嬢ですが、途中で攻守交代されるなんて聞いてません!
「ほんの数日の間にこんなにもウッカリさんが増えるものでしょうか? 過去の記録も引っ張り出して色々と見比べているんですが、なんだか釈然としないというか……」


 わたくしの考え過ぎでしょうか? けれど、なにか見落としていたとしたら――そう思うと怖いのです。


「その件については、上層部のほうでも色々と調査をしている。任せておけばきっと大丈夫だ。俺たちは俺たちの仕事に専念しよう。クラルテが気をもむ必要はないよ」

「……それもそうですね」


 入団したばかりのわたくしにできることはまだまだ限られています。今は目の前の仕事に集中すべきときなのでしょう。もう一度旦那様に頭を撫でられ、わたくしはそっと目を細めました。


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