愛する婚約者様のもとに押しかけた令嬢ですが、途中で攻守交代されるなんて聞いてません!
「俺には言えないことなのか?」
「いえ、その……『絶対に旦那様と結婚するんだ』という強い意志が『旦那様』というワードに結びついた――的な?」
しどろもどろになりながら、クラルテがそう解説する。あまりにも思いがけない回答に俺は思わず笑ってしまった。
(可愛いなぁ)
本当に、クラルテは可愛い。言動も、仕草も、なにもかもが可愛い。思い切り抱きしめて、愛で倒したくなってしまう。
「俺はってきり『名前を呼ぶのが恥ずかしい』なんて言われるものかと思ってたんだが」
「もちろんそれもあります。旦那様の名前、かっこよすぎて、大好きすぎて、お呼びするたびに愛しさが溢れ出してしまいそうですし。恥ずかしすぎて呼ぶのをためらってしまいそうで……」
「そうか。……それは困ったな」
「え? なんでですか?」
クラルテが目を丸くする。俺は思わず口元を押さえた。
「今日は一日『旦那様』じゃなく『ハルト』と呼んでほしいってお願いするつもりだったから」
「へ……?」
驚きのあまり、クラルテがピョンと飛び上がる。彼女はもはや涙目だった。困ったような――けれど嬉しそうな表情を浮かべて、俺のことを呆然と見つめている。
「いえ、その……『絶対に旦那様と結婚するんだ』という強い意志が『旦那様』というワードに結びついた――的な?」
しどろもどろになりながら、クラルテがそう解説する。あまりにも思いがけない回答に俺は思わず笑ってしまった。
(可愛いなぁ)
本当に、クラルテは可愛い。言動も、仕草も、なにもかもが可愛い。思い切り抱きしめて、愛で倒したくなってしまう。
「俺はってきり『名前を呼ぶのが恥ずかしい』なんて言われるものかと思ってたんだが」
「もちろんそれもあります。旦那様の名前、かっこよすぎて、大好きすぎて、お呼びするたびに愛しさが溢れ出してしまいそうですし。恥ずかしすぎて呼ぶのをためらってしまいそうで……」
「そうか。……それは困ったな」
「え? なんでですか?」
クラルテが目を丸くする。俺は思わず口元を押さえた。
「今日は一日『旦那様』じゃなく『ハルト』と呼んでほしいってお願いするつもりだったから」
「へ……?」
驚きのあまり、クラルテがピョンと飛び上がる。彼女はもはや涙目だった。困ったような――けれど嬉しそうな表情を浮かべて、俺のことを呆然と見つめている。