愛する婚約者様のもとに押しかけた令嬢ですが、途中で攻守交代されるなんて聞いてません!
「……そうか。なあクラルテ、結婚後は仕事、どうしたいと思ってる?」
ハルト様がおもむろに尋ねてきます。わたくしは思わず目を丸くしてしまいました。
貴婦人っていうのはあまり外に働きにでないものです。ついでにいうと、家の中のことも使用人におまかせで、昼間はお茶会などの社交に勤しみ、夜は愛する人の帰りを待つのが相場だと決まっています。決まってはいるのですが――
「わたくしはこのまま仕事を続けたいと思っています」
答えれば、ハルト様は優しく目を細めます。彼はきっと、わたくしがどんな選択をしても受け入れると決めていたのでしょう……ハルト様はそういうお方です。わたくしの大好きな人です! 温かい気持ちを胸に、わたくしは言葉を続けます。
「元々はハルト様とお近づきになりたくて決めた進路です。けれどわたくしは、この仕事に使命感とやりがいを感じています。わたくしがハルト様に命を助けていただいたように、わたくしも誰かを守れるような人間になりたい。もしかしたら、この先わたくしにしかできないことがあるかもしれない――あったらいいなぁってそう思っています。それに、せっかく転移魔法や救護魔法を勉強して、とっても得意になりましたしね! 活用しなきゃ損です!」
ハルト様がおもむろに尋ねてきます。わたくしは思わず目を丸くしてしまいました。
貴婦人っていうのはあまり外に働きにでないものです。ついでにいうと、家の中のことも使用人におまかせで、昼間はお茶会などの社交に勤しみ、夜は愛する人の帰りを待つのが相場だと決まっています。決まってはいるのですが――
「わたくしはこのまま仕事を続けたいと思っています」
答えれば、ハルト様は優しく目を細めます。彼はきっと、わたくしがどんな選択をしても受け入れると決めていたのでしょう……ハルト様はそういうお方です。わたくしの大好きな人です! 温かい気持ちを胸に、わたくしは言葉を続けます。
「元々はハルト様とお近づきになりたくて決めた進路です。けれどわたくしは、この仕事に使命感とやりがいを感じています。わたくしがハルト様に命を助けていただいたように、わたくしも誰かを守れるような人間になりたい。もしかしたら、この先わたくしにしかできないことがあるかもしれない――あったらいいなぁってそう思っています。それに、せっかく転移魔法や救護魔法を勉強して、とっても得意になりましたしね! 活用しなきゃ損です!」