愛する婚約者様のもとに押しかけた令嬢ですが、途中で攻守交代されるなんて聞いてません!
「……もしかして、ハルト様に聞いたんですか?」


 というか、そうとしか考えられません。わたくしが軽くにらめば、プレヤさんはクスクスと笑い声を上げました。


「まあね〜! 今朝さ、あいつが悩まし気な顔してるから理由を聞いたら『クラルテに兄に会ってほしいと伝えたら、なんとも言えない微妙な表情をされたうえ、話をはぐらかされた』って言うからさぁ! 僕もうおかしくって! それで事情を聞きに来たんだよねぇ」


 なんと! 人が本気で悩んでいるというのにこの人は……わたくしも彼と似たようなタイプではありますが、ちょっとムッとしてしまいます。


「へんなの〜〜。クラルテだったらハルトの親族には全力で、喜んで、気合満々で会いに行くと思ってたんだけどな」

「……おっしゃるとおりです。というか、わたくしすでに、それをやらかしてしまったあとなんですよ」


 ああ……穴があったら入りたい。本気で本気で入りたい。わたくしは両手で顔を覆い隠しました。


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