愛する婚約者様のもとに押しかけた令嬢ですが、途中で攻守交代されるなんて聞いてません!
「え、なに? 『それをやらかしたあと』……ってことはつまり、クラルテはすでにハルトの兄たちに会いに行ったあとだと。しかも、全力で、喜んで、気合満々で」

「……そうです! お願いですから、恥ずかしいのでそれ以上言わないでください〜〜」


 叫びつつ、わたくしは机に突っ伏しました。

 五年前といえば、わたくしはまだ十三歳。その年頃というのは、普通ならやらないようなことを平気でやってしまう魔の年齢なのです。……いえ、わたくしの場合は最近だって、いきなりハルト様のところに押しかけておりますけれども! 恥ずかしさのレベルが違うというか。思い出すだけで、めちゃくちゃ痛いんですよね……。


「なるほどねぇ。でもさ、君たち結婚するんでしょう? だったら避けては通れない道じゃない?」

「……そうなんです。そうなんですけど! すぐには割り切れないというか、勇気が出ないっていうか、そもそもわたくしが恥ずかしいっていうだけですし」


 先程わたくしが考えていたのとまったく同じことを尋ねられたので、思わず言い返してしまいます。


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