愛する婚約者様のもとに押しかけた令嬢ですが、途中で攻守交代されるなんて聞いてません!
「改めまして、こんばんは、プレヤさん」

「クラルテ〜〜、今の見た? 聞いた? こんな独占欲強い旦那で本当にいいの? こいつ、結構束縛するタイプみたいだよ?」


 プレヤさんはそう言いながら、ニヤニヤと笑っていらっしゃいます。どうやらハルト様をからかって遊びたいみたいです。わたくしにも一緒に煽ってほしいようですが、わたくしはハルト様の味方ですから! 意地悪なんていたしません。


「えーー? わたくしは束縛、どんとこいですよ。だって、わたくしが他の男性と一緒にいるときにハルト様に平気な顔をされていたら嫌ですもん」


 嫉妬も束縛も大歓迎。正直わたくしは、簡単に手放せるような安い存在にはなりたくありません。決闘してでも奪い取りたいと思えるような女になりたいのです。

 ……認めましょう。わたくしも独占欲が強いんですよ。

 だって、こういう場ですから。もしかしたらハルト様の元婚約者も来るかもしれないなぁって。今夜はちょっとだけ意識しちゃってます。
 そんでもって、わたくしのことはロザリンデさんみたいに手放してほしくないなあって。そういう遠回しなアピールだったりします。ハルト様が気づいてくださるかはわかりませんけど。


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