愛する婚約者様のもとに押しかけた令嬢ですが、途中で攻守交代されるなんて聞いてません!

28.はじめまして

 プレヤさんとお別れしたあとは、ふたりで会場をぐるりと回りました。本日のメインイベント、知り合いにわたくしたちが婚約したことをお伝えするためです。


「……まさか、本当に実現させちゃうなんて思いませんでしたわ」

「でしょう? すごいでしょう? 想いの強さって偉大なんですよ!」


 アカデミー時代の友人たちは、わたくしの勝利報告にびっくり仰天しつつ、祝福をしてくれました。在学中は恋バナ、相当聞かせてましたからね! 結婚式にも来てもらえるよう約束を取り付けて、わたくしは足早に友人たちのもとをあとにします。


「いいのか? 久々に再会したんだろう? もう少しゆっくり話しても……」

「いえいえ。そんなことして、みんながハルト様を好きになったら大変ですから!」


 わたくし、そういう空気には敏感なんです。みんな、ハルト様のかっこよさに見惚れてましたから! これ以上長居するわけには参りません。

 まあ、もしも横恋慕されても絶対譲りませんし、返り討ちにしてやりますけどね! 恋は戦闘。たとえ友人同士でも情けは無用です。


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