愛する婚約者様のもとに押しかけた令嬢ですが、途中で攻守交代されるなんて聞いてません!
 ハルト様のご友人も数人いらっしゃってましたので挨拶をさせていただきました。みなさま一様に驚かれていらっしゃって、わたくしは楽しかったです。


「ハルトが結婚?」
「あんなに拒否してたのに?」
「そもそも夜会に出てくるなんて!」


 ……とまあ、こんな感じです。ハルト様って誰の目から見ても印象が変わらないというか、ブレてないんだなぁと、すごく嬉しくなりました。
 もっとハルト様のお話を色々とお聞きしたい。そう思ってあれこれ質問をしていたのですが、ハルト様は「それじゃあまた」と言って、友人がたのもとを早々に離れてしまいます。


「え〜〜? お話、もうやめてしまうのですか? わたくしなんかより、ハルト様のほうがよほど久しぶりにお会いになったみたいですし、もう少しゆっくりお話しても……」

「ダメだ! 奴らがクラルテに夢中になってしまうだろう?」


 ハルト様はムッと唇を尖らせます。
 先程わたくしが口にしたのとまったく同じ理由なのがおかしくて、思わず笑ってしまいました。


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