愛する婚約者様のもとに押しかけた令嬢ですが、途中で攻守交代されるなんて聞いてません!
「先日の商会の大火事! ご覧になりましたか? あれは怖かったですよね……放火って噂も聞きましたし、やはり備えは大事だと思うのですよ」
その瞬間、わたくしは思わずピクリと反応をしてしまいました。
(噂……)
それは一体、どこから出ているものでしょう? 少なくとも、魔術師団側からは情報規制をかけているはずです。新聞等の報道状況も逐一チェックしていますし、現在は『詳細を調査中』ってことで統一しているはずなのですが……。
「いや、気の毒だったなぁ……大事な商品を失い、建物を失い、お客様たちからの信用を失い……あの商会はもうダメです。立て直せません。そもそも元手となるお金がありませんからね。私共としても、大事なライバルを失って、心を痛めているんです」
「そうでしたか」
しらじらしい。本心は真逆であるってこと、聞いていればすぐにわかりますのに。
その瞬間、わたくしは思わずピクリと反応をしてしまいました。
(噂……)
それは一体、どこから出ているものでしょう? 少なくとも、魔術師団側からは情報規制をかけているはずです。新聞等の報道状況も逐一チェックしていますし、現在は『詳細を調査中』ってことで統一しているはずなのですが……。
「いや、気の毒だったなぁ……大事な商品を失い、建物を失い、お客様たちからの信用を失い……あの商会はもうダメです。立て直せません。そもそも元手となるお金がありませんからね。私共としても、大事なライバルを失って、心を痛めているんです」
「そうでしたか」
しらじらしい。本心は真逆であるってこと、聞いていればすぐにわかりますのに。