愛する婚約者様のもとに押しかけた令嬢ですが、途中で攻守交代されるなんて聞いてません!
「それで、保険料はいかほどなんです? そこから補償をなさっているのでしょう?」
興味津々というふうを装って、わたくしは子爵に尋ねます。彼はニヤリと口角を上げ、わたくしの手を握ってきました。
「保険料は建物の大きさや家具家財の価値によって算定しております。私たちのお客様は、ほとんどが商会や高位貴族の方ですから、それ以外の方は比較的お安く保険を利用していただいてますよ」
「まあ、そうなんですね……!」
感銘を受けたふうにお返事をすれば、ザマスコッチ子爵は嬉しそうに微笑みました。
「興味を持たれましたら、ぜひ我がザマスコッチ商会へ。……そこでなら、ハルトさんに気づかれず、いいことが色々とできますよ。保険だけじゃなく、私にも興味を持ってくださいね」
耳元でささやかれ、ゾワッと悪寒が走ります。
(気持ち悪いっ! 気持ち悪いっ! 気持ち悪いです!!!)
あとでハルト様に消毒してもらわなきゃ……! わたくしはバクバクと嫌な音を立てて鳴り響く胸を押さえつつ、ザマスコッチ子爵の後ろ姿を見送るのでした。
興味津々というふうを装って、わたくしは子爵に尋ねます。彼はニヤリと口角を上げ、わたくしの手を握ってきました。
「保険料は建物の大きさや家具家財の価値によって算定しております。私たちのお客様は、ほとんどが商会や高位貴族の方ですから、それ以外の方は比較的お安く保険を利用していただいてますよ」
「まあ、そうなんですね……!」
感銘を受けたふうにお返事をすれば、ザマスコッチ子爵は嬉しそうに微笑みました。
「興味を持たれましたら、ぜひ我がザマスコッチ商会へ。……そこでなら、ハルトさんに気づかれず、いいことが色々とできますよ。保険だけじゃなく、私にも興味を持ってくださいね」
耳元でささやかれ、ゾワッと悪寒が走ります。
(気持ち悪いっ! 気持ち悪いっ! 気持ち悪いです!!!)
あとでハルト様に消毒してもらわなきゃ……! わたくしはバクバクと嫌な音を立てて鳴り響く胸を押さえつつ、ザマスコッチ子爵の後ろ姿を見送るのでした。