愛する婚約者様のもとに押しかけた令嬢ですが、途中で攻守交代されるなんて聞いてません!
「質問の答えになっていないわ。ハルトが今更結婚? 笑わせないでよ。あなたは一生をあたしのことを想いながら終えるんだろうって、そう思っていたのよ?」

「それは君の勝手な想像だろう?」


 反論しつつも、ロザリンデの主張は半分当たっていたと自嘲する。
 ――実際のところ、もしもクラルテが現れなければ、俺はロザリンデ――というより、過去の婚約者に禊をたてなければならないという訳のわからないルールに縛られ、一生を独身で終えていただろう。

 とはいえ、それは俺がロザリンデを愛していたからというわけでは全くない。
 現に今、ロザリンデを前にして湧き上がるのは、嫌悪感以外のなにものでもなかった。


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