愛する婚約者様のもとに押しかけた令嬢ですが、途中で攻守交代されるなんて聞いてません!
「実は、火災保険なるものの勧誘話をされまして」

「うん」


 それだけじゃないだろう? と詰め寄られつつ、わたくしはゴクリとつばを飲みます。
 なんでしょう? ハルト様の様子がいつもの数倍おかしいです。ワイルドというか、セクシーというか! 彼を愛するわたくしには目に毒な状況です。若干怖いと思いつつ、それを心のどこかで楽しんでいる自分がいるといいましょうか……これは困りましたね。


「クラルテ?」


 ハルト様がわたくしの名前を呼びます。
 顔近い! 非常にまずい状況です。ドキドキしすぎて心臓が飛び出しちゃいそう!
 
 とかなんとか思っていたら、噛みつくみたいなキスをされて、いよいよ頭が回らなくなってきました。全身が燃えるみたいに熱いですし、色々大丈夫でしょうか?


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