愛する婚約者様のもとに押しかけた令嬢ですが、途中で攻守交代されるなんて聞いてません!
「どうだろうね? ……ただ、ハルトはハルトの仕事に集中するべきだと思うよ。他人の仕事に手を出していては被害が拡大しちゃうからね。やれやれ、しばらくは忙しくなりそうだ。僕、そんなに仕事人間じゃないんだけど」
プレヤさんはそう言いながら俺のことを覗き込んできた。
「ハルトも、今回ばかりは忙しいのは嫌だろう? このままじゃクラルテとの結婚話を進められないもんね」
「…………ええ」
プレヤさんの言うとおり。最近は疲れすぎて、帰宅するとすぐに泥のように眠ってしまう。それは俺だけでなく、クラルテも同じだった。下手をすれば、彼女のほうが負担が大きいように思う。頻繁に転移魔法を使い、負傷者の治療をし、書類仕事までこなさなければならないのだ。おまけに、新人だからというだけで、他の人間よりも業務量が多く割り振られている。もっと分担を見直すべきだ――そう掛け合いたいところだが、俺とクラルテは部署も上司も違っている。過保護な婚約者だと笑われるのは目に見えているし、クラルテ自身がそれを望んでいないのだからどうしようもなかった。
「まあ、まったく進展がないわけじゃないんだし、僕も色々と動いている。君たちが早く一緒になれるよう協力してあげるからさ」
「そうですね」
返事をしつつ、俺は大きくため息をついた。
プレヤさんはそう言いながら俺のことを覗き込んできた。
「ハルトも、今回ばかりは忙しいのは嫌だろう? このままじゃクラルテとの結婚話を進められないもんね」
「…………ええ」
プレヤさんの言うとおり。最近は疲れすぎて、帰宅するとすぐに泥のように眠ってしまう。それは俺だけでなく、クラルテも同じだった。下手をすれば、彼女のほうが負担が大きいように思う。頻繁に転移魔法を使い、負傷者の治療をし、書類仕事までこなさなければならないのだ。おまけに、新人だからというだけで、他の人間よりも業務量が多く割り振られている。もっと分担を見直すべきだ――そう掛け合いたいところだが、俺とクラルテは部署も上司も違っている。過保護な婚約者だと笑われるのは目に見えているし、クラルテ自身がそれを望んでいないのだからどうしようもなかった。
「まあ、まったく進展がないわけじゃないんだし、僕も色々と動いている。君たちが早く一緒になれるよう協力してあげるからさ」
「そうですね」
返事をしつつ、俺は大きくため息をついた。