愛する婚約者様のもとに押しかけた令嬢ですが、途中で攻守交代されるなんて聞いてません!
***
しかし、俺の想いとは裏腹に、クラルテとのすれ違いはどんどん大きくなっていく。
俺たちは毎日朝早くに職場に行き、夜遅くに帰ってくる。今ではランチの時間を合わせることも、彼女の職場に顔を出すことも難しくなっていたし、家で顔を合わせられるのはほんのわずかな時間だけだ。休みの日もなかなか合わせられず、以前のようにクラルテと触れ合うことは難しい。それが放火魔のせいだと思うと、ものすごく腹立たしかった。
(なんとしても早く犯人を捕まえないと……!)
決意を胸に、俺は寝台から飛び起きる。
今日の俺は非番のため、ゆっくりと身体を休めるべき日だ。けれど、こうしている間にもクラルテは忙しく働いているし、じっとなんてしていられない。
これまでの火災現場を回ってみよう――そう思って部屋から出たときだった。
「あっ……ご主人さま」
侍女のひとりがクラルテの部屋に入ろうとしている場面に出くわす。深々とした礼。彼女の手には一枚の封筒が握られていた。
しかし、俺の想いとは裏腹に、クラルテとのすれ違いはどんどん大きくなっていく。
俺たちは毎日朝早くに職場に行き、夜遅くに帰ってくる。今ではランチの時間を合わせることも、彼女の職場に顔を出すことも難しくなっていたし、家で顔を合わせられるのはほんのわずかな時間だけだ。休みの日もなかなか合わせられず、以前のようにクラルテと触れ合うことは難しい。それが放火魔のせいだと思うと、ものすごく腹立たしかった。
(なんとしても早く犯人を捕まえないと……!)
決意を胸に、俺は寝台から飛び起きる。
今日の俺は非番のため、ゆっくりと身体を休めるべき日だ。けれど、こうしている間にもクラルテは忙しく働いているし、じっとなんてしていられない。
これまでの火災現場を回ってみよう――そう思って部屋から出たときだった。
「あっ……ご主人さま」
侍女のひとりがクラルテの部屋に入ろうとしている場面に出くわす。深々とした礼。彼女の手には一枚の封筒が握られていた。