愛する婚約者様のもとに押しかけた令嬢ですが、途中で攻守交代されるなんて聞いてません!
「それにしても、綺麗に整理されてる机だよね。どこになにがあるってすぐにわかるし、僕の部下たちの机とは大違いだ」
しかし、プレヤさんはそう言ってクラルテの引き出しを勢いよく開けた。
「ちょっ! 勝手に人の机を開けるなんて……!」
「平気平気。ちゃんと本人の了解を得てるから。『休みの日には書類は引き出しに入れてるから勝手に取っていいよ』ってね」
プレヤさんは引き出しを一番上から下まで順番に開けていく。けれど、中にザマスコッチからの手紙も、魔法陣らしきものも見当たらなかった。てっきり家のクラルテの机の魔法陣と繋がっていると思っていたのだが……。
「あ、あったあった」
プレヤさんは一つのファイルに目を留めると、小さく笑いながらそれを手に取った。なぜそこで笑う? と思いつつ、俺は思わず眉間にしわを寄せる。
「どうしたの? めちゃくちゃ凝視してたね」
「……プレヤさんがクラルテの机に変なことをしないか見張っていただけですよ」
元々俺は引き出しまで開けるつもりなんてなかった。プライバシーは大事だし、机の上に手紙が乗っていたらいいなあ、ぐらいの気持ちでここに来たのだ。もしあれば『誰に見られてもいいものだ』と思えそうだな、とそう思ってのことだったのだが。
しかし、プレヤさんはそう言ってクラルテの引き出しを勢いよく開けた。
「ちょっ! 勝手に人の机を開けるなんて……!」
「平気平気。ちゃんと本人の了解を得てるから。『休みの日には書類は引き出しに入れてるから勝手に取っていいよ』ってね」
プレヤさんは引き出しを一番上から下まで順番に開けていく。けれど、中にザマスコッチからの手紙も、魔法陣らしきものも見当たらなかった。てっきり家のクラルテの机の魔法陣と繋がっていると思っていたのだが……。
「あ、あったあった」
プレヤさんは一つのファイルに目を留めると、小さく笑いながらそれを手に取った。なぜそこで笑う? と思いつつ、俺は思わず眉間にしわを寄せる。
「どうしたの? めちゃくちゃ凝視してたね」
「……プレヤさんがクラルテの机に変なことをしないか見張っていただけですよ」
元々俺は引き出しまで開けるつもりなんてなかった。プライバシーは大事だし、机の上に手紙が乗っていたらいいなあ、ぐらいの気持ちでここに来たのだ。もしあれば『誰に見られてもいいものだ』と思えそうだな、とそう思ってのことだったのだが。