愛する婚約者様のもとに押しかけた令嬢ですが、途中で攻守交代されるなんて聞いてません!
「ですが、クラルテさんは特別です。先ほど提示したお値段より、安く契約をさせていただきますよ」
「え? 本当ですか?」
「ええ。そろそろ火災も落ち着く頃合いでしょうから」
……大分核心に迫ってきています。
嬉しい、と微笑みつつ、わたくしは静かに目をつぶりました。すると、耳の中でプレヤさんの声が響きます。
『もう少し、詳しい情報がほしいな』
まあ、そうでしょうね……まばたきを一つ、わたくしはもう一度ザマスコッチ子爵と向き合います。
「けれど、どうして? これでは他の人に申し訳ないような……」
「いいんですよ。保険っていうのは安心をお金で買うものですから。他のお客様から十分にお金をいただいていますし、クラルテさんとはこれからいい関係を築いていきたいので」
「……他のお客様は、例の商会の大火災を機に契約をなさったのですか?」
不意に伸びてきた手を交わしつつわたくしが尋ねれば、ザマスコッチ子爵は嬉しそうにうなずきました。
「え? 本当ですか?」
「ええ。そろそろ火災も落ち着く頃合いでしょうから」
……大分核心に迫ってきています。
嬉しい、と微笑みつつ、わたくしは静かに目をつぶりました。すると、耳の中でプレヤさんの声が響きます。
『もう少し、詳しい情報がほしいな』
まあ、そうでしょうね……まばたきを一つ、わたくしはもう一度ザマスコッチ子爵と向き合います。
「けれど、どうして? これでは他の人に申し訳ないような……」
「いいんですよ。保険っていうのは安心をお金で買うものですから。他のお客様から十分にお金をいただいていますし、クラルテさんとはこれからいい関係を築いていきたいので」
「……他のお客様は、例の商会の大火災を機に契約をなさったのですか?」
不意に伸びてきた手を交わしつつわたくしが尋ねれば、ザマスコッチ子爵は嬉しそうにうなずきました。