愛する婚約者様のもとに押しかけた令嬢ですが、途中で攻守交代されるなんて聞いてません!
「もちろん、それだけだったら、わたくしもあなたを疑いはしませんでした。だけど、ここ最近の火事について改めて調べ直したとき、妙なことに気づいてしまったんです」
「妙なこと?」
「ええ。放火の被害者たちはみんな、あなたに都合のいい人物や地域ばかりだったんですよ。たとえばこの間の商会がそうです。ザマスコッチ商会の商売敵、でしたっけ。あそこがなくなったことで、さぞやお客さんが増えたことでしょう。それからブッティーニ伯爵とジャクティニ男爵のお屋敷……あなたが不倫騒動を起こして揉めたところですね。火事を起こすことで色々と有耶無耶にしたかったのでしょう。それから、ゼンディヤ侯爵令息のお家が被害にあったのは、お仕事関係でトラブルがあったから。たしか税金絡みの不正を突かれたんでしたよね。腹いせの犯行だったのかなぁって」
わたくしの言葉に、ザマスコッチは神妙な顔つきになります。なんとかして誤魔化したいと考えているのか、はたまたわたくしを始末する算段をつけているのか……正直どちらでも構わないのですが、わたくしは静かに息をつきます。
「妙なこと?」
「ええ。放火の被害者たちはみんな、あなたに都合のいい人物や地域ばかりだったんですよ。たとえばこの間の商会がそうです。ザマスコッチ商会の商売敵、でしたっけ。あそこがなくなったことで、さぞやお客さんが増えたことでしょう。それからブッティーニ伯爵とジャクティニ男爵のお屋敷……あなたが不倫騒動を起こして揉めたところですね。火事を起こすことで色々と有耶無耶にしたかったのでしょう。それから、ゼンディヤ侯爵令息のお家が被害にあったのは、お仕事関係でトラブルがあったから。たしか税金絡みの不正を突かれたんでしたよね。腹いせの犯行だったのかなぁって」
わたくしの言葉に、ザマスコッチは神妙な顔つきになります。なんとかして誤魔化したいと考えているのか、はたまたわたくしを始末する算段をつけているのか……正直どちらでも構わないのですが、わたくしは静かに息をつきます。