愛する婚約者様のもとに押しかけた令嬢ですが、途中で攻守交代されるなんて聞いてません!
「いえいえ、わたくしはまったく思ってませんでしたよ! そもそも、あなたと手紙のやりとりをしていたのはわたくしじゃありませんし。まあ、送られてきたあなたの手紙を読みながら『気持ち悪い』とは思っておりましたけれども」
「は?」
ザマスコッチ子爵があんぐりと口を開けます。……とってもいい表情です。わたくしはニコリと微笑みました。
「それから、先ほど『証拠はない』とおっしゃってましたが、わたくし、火災現場であなたの姿を毎度目撃して、記録させていただいてたんですよ。つまり、状況証拠だけはしっかりと準備できていたんです」
「なに?」
あっ、やっぱり気づいてなかったんですね。自信家っていうのは本当にめでたい生き物です。もう少し警戒心というか、慎重性というものを持って然るべきでしょうに。いえ、こちらとしては短期決戦に持ち込めてありがたい限りでしたが。
「ですから、あとは言い逃れの出来ない状況を作らせていただくだけだったんです。――先程自供もバッチリとれましたし、ついでに現行犯逮捕させていただきたいなぁと思いまして」
そのときバン! という大きな音とともに倉庫の扉が開きました。振り返るまもなく放たれる強力な水魔法。――水魔法は炎ではなくザマスコッチ子爵に直撃しました。次いでもう一度バン! という大きな音が響きます。ザマスコッチ子爵が倉庫の壁に激突した合図です。
「は?」
ザマスコッチ子爵があんぐりと口を開けます。……とってもいい表情です。わたくしはニコリと微笑みました。
「それから、先ほど『証拠はない』とおっしゃってましたが、わたくし、火災現場であなたの姿を毎度目撃して、記録させていただいてたんですよ。つまり、状況証拠だけはしっかりと準備できていたんです」
「なに?」
あっ、やっぱり気づいてなかったんですね。自信家っていうのは本当にめでたい生き物です。もう少し警戒心というか、慎重性というものを持って然るべきでしょうに。いえ、こちらとしては短期決戦に持ち込めてありがたい限りでしたが。
「ですから、あとは言い逃れの出来ない状況を作らせていただくだけだったんです。――先程自供もバッチリとれましたし、ついでに現行犯逮捕させていただきたいなぁと思いまして」
そのときバン! という大きな音とともに倉庫の扉が開きました。振り返るまもなく放たれる強力な水魔法。――水魔法は炎ではなくザマスコッチ子爵に直撃しました。次いでもう一度バン! という大きな音が響きます。ザマスコッチ子爵が倉庫の壁に激突した合図です。