愛する婚約者様のもとに押しかけた令嬢ですが、途中で攻守交代されるなんて聞いてません!
「え〜〜? そんな、大丈夫ですよ。旦那様はお仕事もしていらっしゃいますし、ゆっくりくつろいでいただければ……」
「それでは俺の気がすまないんだ! やらせてくれ」
俺はクラルテの分まで皿をひとまとめにし、洗い場へと運んだ。だが、腐っても魔術師。片付けは一瞬で終わってしまった。
(どうしよう……)
先程、俺が片付けを提案したときにクラルテは否定をしなかった。つまり『このあとどうする?』という質問のこたえに正解していたと考えられなくもない。考えられなくもないのだが……。
「旦那様……」
クラルテがそう言って俺の服の裾を引っ張る。見れば、なんともいじらしい表情を浮かべていた。思わずゴクリと喉が鳴り、俺は首を横に振る。
(バカなことは考えるな)
俺たちはまだ正式に婚約を結んですらいない。なんなら断るつもり満々だったはずだ。
それなのに、よこしまな考えを持つなんてありえない。いくら相手がその気だからと言って、俺がそれを認めるわけには……。
「それでは俺の気がすまないんだ! やらせてくれ」
俺はクラルテの分まで皿をひとまとめにし、洗い場へと運んだ。だが、腐っても魔術師。片付けは一瞬で終わってしまった。
(どうしよう……)
先程、俺が片付けを提案したときにクラルテは否定をしなかった。つまり『このあとどうする?』という質問のこたえに正解していたと考えられなくもない。考えられなくもないのだが……。
「旦那様……」
クラルテがそう言って俺の服の裾を引っ張る。見れば、なんともいじらしい表情を浮かべていた。思わずゴクリと喉が鳴り、俺は首を横に振る。
(バカなことは考えるな)
俺たちはまだ正式に婚約を結んですらいない。なんなら断るつもり満々だったはずだ。
それなのに、よこしまな考えを持つなんてありえない。いくら相手がその気だからと言って、俺がそれを認めるわけには……。