愛する婚約者様のもとに押しかけた令嬢ですが、途中で攻守交代されるなんて聞いてません!
 これから先もわたくしは全力でハルト様への愛を叫び続けますし、あわよくば彼に勝ちたいなぁなんて思います。だって、そしたらきっと、ハルト様は永遠にわたくしと一緒にいてくれるでしょう? ハルト様をもっともっと好きにさせたい。夢中にさせたい。……そう思うのが乙女心ってやつですから!


「なあ、クラルテ。やっぱり負けっぱなしじゃ悔しいから……俺がどれだけクラルテを愛しているか、今から伝えてもいい?」


 ハルト様がわたくしに口づけ、熱っぽく見下ろします。
 部屋にはわたくしたち二人だけ。


 見つめ合い、どちらともなく交わす口づけ――いつからか、それがわたくしたちの開戦の合図になっていたみたいです。

 身体がきしむほどに抱きしめられて、たくさん愛情を囁かれて……ダメです。すでにキャパオーバー。
 わたくしは思わず両手を上げます。


「やっぱり、ハルト様には敵いません!」


 開戦早々敗北宣言をするわたくしに、ハルト様は声を上げて笑うのでした。
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