愛する婚約者様のもとに押しかけた令嬢ですが、途中で攻守交代されるなんて聞いてません!
「え……?」
存じ上げている? 一体どういうことだ? そもそも、クラルテはそれでいいのだろうか? 婚約を拒否されているとわかっていて、俺のもとにやってくるとは……。
「わたくし、元々は旦那様の使用人志望だったんです。だけど、さすがにそれは両親が許してくれなくて……」
「いや、当然だろう? 君は侯爵令嬢なんだから」
あまりにも突拍子もないクラルテの主張に、俺は目を丸くする。
「いえいえ! 侯爵の娘であっても、侍女として働いている女性はたくさんいますもの! ですからわたくしも、数年前から旦那様にお仕えしたいと思っていて」
「いや、俺は爵位を継ぐ予定もない伯爵家の三男だし、君のほうが身分は上だ。それなのに、どうして仕えるなんて発想になるんだ?」
身分の高い令嬢が侍女として仕える相手は、自分よりも高位な貴族――王族がほとんどだ。俺みたいな貴族と呼んでいいかも怪しい男の下で働くなんてありえない。第一、ブクディワ侯爵は大層な資産家なのだから、クラルテが働く必要など一切ないはずだというのに。
存じ上げている? 一体どういうことだ? そもそも、クラルテはそれでいいのだろうか? 婚約を拒否されているとわかっていて、俺のもとにやってくるとは……。
「わたくし、元々は旦那様の使用人志望だったんです。だけど、さすがにそれは両親が許してくれなくて……」
「いや、当然だろう? 君は侯爵令嬢なんだから」
あまりにも突拍子もないクラルテの主張に、俺は目を丸くする。
「いえいえ! 侯爵の娘であっても、侍女として働いている女性はたくさんいますもの! ですからわたくしも、数年前から旦那様にお仕えしたいと思っていて」
「いや、俺は爵位を継ぐ予定もない伯爵家の三男だし、君のほうが身分は上だ。それなのに、どうして仕えるなんて発想になるんだ?」
身分の高い令嬢が侍女として仕える相手は、自分よりも高位な貴族――王族がほとんどだ。俺みたいな貴族と呼んでいいかも怪しい男の下で働くなんてありえない。第一、ブクディワ侯爵は大層な資産家なのだから、クラルテが働く必要など一切ないはずだというのに。