愛する婚約者様のもとに押しかけた令嬢ですが、途中で攻守交代されるなんて聞いてません!
「クラルテと申します。転移魔法、救護魔法が扱えます。一生懸命頑張りますので、よろしくお願いします」
悶々としている間に自己紹介が進んでいる。気づけばクラルテがみんなに向かってお辞儀をしているところだった。すぐに拍手が沸き起こる。俺も慌てて手を叩いた。
「……なあ、あの子可愛くない?」
(…………!)
そんななか、どこからともなく聞こえてきたつぶやきに俺は思わず振り返る。幸い、声の主はすぐに判別できた。
(あれは……昨年度の採用者たちか)
なるほど、後輩が入ってきたことで浮足立っているのだろう。気持ちはわからないでもないが、たるんでいる。あとで活を入れなければ――そんなことを思っていたら、今度は先程とは別人の声が聞こえてきた。
「俺、知ってるよ。ブクディワ侯爵の愛娘だ。何度か夜会で顔を合わせたことがある。まさか同じ職場になるとはな……気さくないい子だよ。たしか、婚約者もいなかったはずだし、仲良くなったら玉の輿に乗れる……なんてこともあるかも」
(なにっ!?)
悶々としている間に自己紹介が進んでいる。気づけばクラルテがみんなに向かってお辞儀をしているところだった。すぐに拍手が沸き起こる。俺も慌てて手を叩いた。
「……なあ、あの子可愛くない?」
(…………!)
そんななか、どこからともなく聞こえてきたつぶやきに俺は思わず振り返る。幸い、声の主はすぐに判別できた。
(あれは……昨年度の採用者たちか)
なるほど、後輩が入ってきたことで浮足立っているのだろう。気持ちはわからないでもないが、たるんでいる。あとで活を入れなければ――そんなことを思っていたら、今度は先程とは別人の声が聞こえてきた。
「俺、知ってるよ。ブクディワ侯爵の愛娘だ。何度か夜会で顔を合わせたことがある。まさか同じ職場になるとはな……気さくないい子だよ。たしか、婚約者もいなかったはずだし、仲良くなったら玉の輿に乗れる……なんてこともあるかも」
(なにっ!?)