愛する婚約者様のもとに押しかけた令嬢ですが、途中で攻守交代されるなんて聞いてません!
「それで? ここで働くことになった理由は?」
「当然、旦那様のためですよ!」
エッヘン! と胸を張るクラルテに、思わず面食らってしまう。動揺を隠すため、俺はさり気なく食事に視線を移した。
「俺のため? それは一体どういう……」
「今から約一年前……わたくしが進路を決めようという時期にはまだ『旦那様の結婚話』なんてものはなかったわけですよ」
「ん? まあ、そう言われるとそうか……」
俺が『結婚しろ』と言われたのはつい最近のこと。なるほど、なんとなく話が見えてきた気がする。
「そんな状況下で、旦那様にお近づきになりたいと思ったら、使用人か同僚になるのが一番でしょう? 旦那様ご自身は結婚を拒否していらっしゃいましたしね。これは純正恋愛結婚に持ち込むしかない――わたくしに惚れていただくしかない、と思ったわけです。けれど、使用人になるのは両親が中々許してくれそうにないので、魔術師団に入団してしまおうと! ついでに、同じ局に配属されるようにってことで転移魔法や救護魔法の鍛錬を積んできたわけです」
「当然、旦那様のためですよ!」
エッヘン! と胸を張るクラルテに、思わず面食らってしまう。動揺を隠すため、俺はさり気なく食事に視線を移した。
「俺のため? それは一体どういう……」
「今から約一年前……わたくしが進路を決めようという時期にはまだ『旦那様の結婚話』なんてものはなかったわけですよ」
「ん? まあ、そう言われるとそうか……」
俺が『結婚しろ』と言われたのはつい最近のこと。なるほど、なんとなく話が見えてきた気がする。
「そんな状況下で、旦那様にお近づきになりたいと思ったら、使用人か同僚になるのが一番でしょう? 旦那様ご自身は結婚を拒否していらっしゃいましたしね。これは純正恋愛結婚に持ち込むしかない――わたくしに惚れていただくしかない、と思ったわけです。けれど、使用人になるのは両親が中々許してくれそうにないので、魔術師団に入団してしまおうと! ついでに、同じ局に配属されるようにってことで転移魔法や救護魔法の鍛錬を積んできたわけです」