愛する婚約者様のもとに押しかけた令嬢ですが、途中で攻守交代されるなんて聞いてません!
 そりゃ、『着替えを手伝いたい』と主張したのはわたくしですよ? それも、この家に来てから数日後のことです。
 だけど、そのときの旦那様は当然『そんなものは必要ない』と恥ずかしそうに断っていらっしゃったのに……。


「えーー? いいんですか? 本当に手伝っちゃいますよ?」


 どうしましょう……こんな返事をしてみたものの、旦那様の回答によってはわたくしの首が絞まります。
 だってだって、普通に考えて無理ですよ! そりゃ、旦那様の引き締まった身体は見てみたい――とは思いますけど(小声)、相手は大好きな旦那様ですよ? 本気で恥ずかしいじゃありませんか! 直視できるはずがありません。


「ほら」


 それなのに、旦那様はベッドに腰掛けてわたくしの顔を覗き込んできました。胸を突き出すようにして、パジャマのボタンを見せつけてきます。外して、ということのようです。


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