愛する婚約者様のもとに押しかけた令嬢ですが、途中で攻守交代されるなんて聞いてません!
2.頑固者の結婚観
それはクラルテが俺のもとに押しかけてくる数日前のことだった。
「結婚? 俺がですか?」
「そう、これ上官命令ね」
俺は直属の上司であるプレヤ氏に呼び出されていた。
腹立たしいほどにニコニコと微笑まれ、俺は思わず唇を尖らせる。
「プレヤさん、俺はもう結婚はしないとあれほど……」
「聞いたよ。それこそ耳にタコができるほどにね。だけどさ、考えてもみなよ。ほんの二年間婚約していただけの女に浮気されて、婚約を一方的に破棄されたんだろう? それだってもう五年も前の話だ。それなのに、未だにそんな女に操を立てる必要なくない? というか、相手は既にその浮気相手と結婚しているんだろう?」
プレヤさんは言いながら「やれやれ」と首を横に振っている。俺はさらに唇をムッと尖らせた。
「お言葉を返しますが、男として一度決めたことを覆すのはいかがなものかと思います。俺はロザリンデと結婚すると約束をして」
「で、裏切られた、と。そんな約束、完全に無効だ。第一、君たちの婚約は政略によるものだったのだし……」
「結婚? 俺がですか?」
「そう、これ上官命令ね」
俺は直属の上司であるプレヤ氏に呼び出されていた。
腹立たしいほどにニコニコと微笑まれ、俺は思わず唇を尖らせる。
「プレヤさん、俺はもう結婚はしないとあれほど……」
「聞いたよ。それこそ耳にタコができるほどにね。だけどさ、考えてもみなよ。ほんの二年間婚約していただけの女に浮気されて、婚約を一方的に破棄されたんだろう? それだってもう五年も前の話だ。それなのに、未だにそんな女に操を立てる必要なくない? というか、相手は既にその浮気相手と結婚しているんだろう?」
プレヤさんは言いながら「やれやれ」と首を横に振っている。俺はさらに唇をムッと尖らせた。
「お言葉を返しますが、男として一度決めたことを覆すのはいかがなものかと思います。俺はロザリンデと結婚すると約束をして」
「で、裏切られた、と。そんな約束、完全に無効だ。第一、君たちの婚約は政略によるものだったのだし……」