愛する婚約者様のもとに押しかけた令嬢ですが、途中で攻守交代されるなんて聞いてません!
(美味しくなれ〜〜! ついでに旦那様がわたくしのことを好きになってくださいますように!)


 旦那様に少しでも喜んでいただけるよう、今日も今日とて念を込めます。


「さあ、食べようか」

「はい!」


 旦那様と二人きりの食堂で、わたくしたちは向かい合って食事をはじめました。

 日勤のわたくしと違って、旦那様は一日置きにしか家に帰ってきません。ですから、こうして家で食事がとれるのは、とてつもなく貴重な機会だと認識しています。人は食事を通して互いを知り、親しくなるもの――三大欲求のひとつを共に満たすことで、一体感的なものを得られるのだとなにかの本に書いてあったからです。効果の程は今のところ謎ですが、だからこそ、小さな努力をコツコツと積み重ねていきたいところ。


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