愛する婚約者様のもとに押しかけた令嬢ですが、途中で攻守交代されるなんて聞いてません!
「それじゃあ、家事をしなくてよくなる分だけ旦那様との時間がとれますね?」

「ん? ああ……まあ、そうなるか?」


 そして、わたくしはやはり攻めてこそ! 旦那様にドキドキさせられてばかりでは性に合いません。


「だったら、もっと旦那様に好きになっていただけるよう、色々と頑張らせていただきますね!」

「なっ……!」


 なぁんて、まだ具体的な方策は浮かんでいないんですけれども! ここはハッタリでもなんでもいいから、旦那様にわたくしを意識していただかないと!


「――――楽しみにしている」

「…………へ?」


 本当にいいんですか!? 楽しみにしていただけちゃうんですか!?


(やっぱり、最近の旦那様はなにかがおかしい)


 結局返り討ちにされてしまったわたくしは、ドキドキと胸を高鳴らせつつ、仕事へと向かうのでした。
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