愛する婚約者様のもとに押しかけた令嬢ですが、途中で攻守交代されるなんて聞いてません!
「たしかに……それだけのバイタリティの持ち主だ。もしかしたら国一番の魔力の持ち主かもしれないな」

「バイタリティ! すっごくよく言われるんですよ! 君のバイタリティは素晴らしいって!」


 感心半分、呆れ半分――あまりにも言われすぎて、もはや褒め言葉なのかよくわかりませんが(しかも、人前では猫を被っているといいますのに)……愛する旦那様もそう表現するくらいですし、ここは褒め言葉ということにしておきましょう!


「今度先輩が魔力測定に連れて行ってくださるそうです! わたくし、訓練のなかでしか自分の限界値を測ったことがないので、少し楽しみなんです!」

「先輩って……女性だよな?」


 すかさず旦那様が確認をしてきます。見れば、顔が真っ赤に染まっているじゃありませんか!


「――どっちだと思います?」


 あーー可愛い! 旦那様ったら、すごく可愛い! これって嫉妬……というか、お相手を警戒していらっしゃるってことですよね? わたくしが他の男にうつつを抜かすんじゃないかって。もしくは他の男からちょっかいをかけられるんじゃないかって! 後者はさておき、前者は絶対ありえないのですが、せっかくの機会なので有効に活用させていただかなくては!


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