愛する婚約者様のもとに押しかけた令嬢ですが、途中で攻守交代されるなんて聞いてません!
「プレヤさんは女性ならば誰にでも『可愛い』と言うじゃありませんか。俺とは根本的に違います」
「いやいや、さすがに誰でもってわけじゃないし……まあ、おまえのそれが特別だっていうのはわかるけどさ」
僕にだって一応好みはある。美醜の基準だって存在する。それなのに無類の女好き、みたいに言われたらちょっと傷ついてしまう。まあ、来るものは拒まないんだけど。
「特別……クラルテが」
「まったく、これで自覚がないというのが恐ろしいな。お前は既にクラルテに惚れてるんだよ。この間も言っただろう? 『前言撤回するなら早いほうがいいぞ』って。さっさと婚約してしまいなよ。お前は知らんだろうが、入団以降、クラルテはいろんなやつから声をかけられているんだぞ?」
役職持ちの僕のところにはいろんな情報が集まってくる。毎年、新人が入ってくるこの時期は魔術師団全体が浮つきがちなので、上層部でこっそりと監視をしているのだ。
そんななか、クラルテの人気は目をみはるものがあった。
明るく可愛く、素直で従順(実情はどうあれ、若い奴らにはそう見えているらしい)、親は侯爵で資産家というのも大きなポイントだ。お嫁さんにしたい女性ナンバーワンということで、局の垣根を超えて魔術師たちが彼女を狙い、声をかけに来ている。知らないのは、こういうことに疎いハルトぐらいのものだろう。
「いやいや、さすがに誰でもってわけじゃないし……まあ、おまえのそれが特別だっていうのはわかるけどさ」
僕にだって一応好みはある。美醜の基準だって存在する。それなのに無類の女好き、みたいに言われたらちょっと傷ついてしまう。まあ、来るものは拒まないんだけど。
「特別……クラルテが」
「まったく、これで自覚がないというのが恐ろしいな。お前は既にクラルテに惚れてるんだよ。この間も言っただろう? 『前言撤回するなら早いほうがいいぞ』って。さっさと婚約してしまいなよ。お前は知らんだろうが、入団以降、クラルテはいろんなやつから声をかけられているんだぞ?」
役職持ちの僕のところにはいろんな情報が集まってくる。毎年、新人が入ってくるこの時期は魔術師団全体が浮つきがちなので、上層部でこっそりと監視をしているのだ。
そんななか、クラルテの人気は目をみはるものがあった。
明るく可愛く、素直で従順(実情はどうあれ、若い奴らにはそう見えているらしい)、親は侯爵で資産家というのも大きなポイントだ。お嫁さんにしたい女性ナンバーワンということで、局の垣根を超えて魔術師たちが彼女を狙い、声をかけに来ている。知らないのは、こういうことに疎いハルトぐらいのものだろう。