【お手紙お返事ぺーパー】8度目の人生、嫌われていたはずの王太子殿下の溺愛ルートにはまりました。小話
 そんなフィオナも十三歳になり、加護の儀式を行うことになる。

(ふん。加護など与えないからな)

 ドルフは半ば意地になって、その日は王城のフィオナの部屋から出なかった。

 一方、ルングレン山では、聖獣たちが、久しぶりに訪れた王族の子供を興味津々で見ていた。

『フィオナか。かわいい子だね。誰が加護を与える?』
『私はエリオットがいいから嫌よ。初めて見たときからあの子に決めているの』

 ほほを染めて言うのはフクロウの聖獣・ホワイティだ。

『なら、俺が……って言いたいところなんだけど、なあ』
『うん……あの子から、ドルフのにおいがめちゃくちゃするよな』

 狐とリスの聖獣が困ったように顔を見合わせる。

『でも加護は与えてない……よな?』
『ああ。だってドルフ。ルパートの時だってあんなに嫌がっていたじゃん』
『でも、においがついているってことは、あの子のことは気に入ってるってことだろ? 売約済みってことなんじゃないの?』
『ああもう、ここにドルフがいれば、一発で決まる話じゃないか。なんでいないんだよ!』
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