【お手紙お返事ぺーパー】8度目の人生、嫌われていたはずの王太子殿下の溺愛ルートにはまりました。小話
 居間に入ると、気配に気づいたのか、アイラが黙る。しかし、もう遅い。結局、アイラが隠れていたのは居間のソファの後ろだった。アイラの小さな体は、すっぽり隠れて見えず、完全に盲点だったので、隠れ場所としての目の付け所はいい。

「見つけたわ、アイラ」
「きゃわっ。え、なんで?」
「途中、歌を歌っていたでしょう? 聞こえたわよ」
『アイラは、これでいつも見つかるんだよ』

 リーフェが説明してくれる。

「だって、だまっているの、にがてだもん」と言いながら、アイラは頬を膨らませている。

(でも、今後家庭教師がついたときや、学校に行くときには、長時間静かにしていなければいけないわよね)

 フィオナは、都度注意しなければと思う。

「さあ、残るはオリバーとドルフね?」
「オリバーはねぇ、いつもたかいところにいるの」

 アイラは言い、後宮を囲うように植えられた大きな木々を指差した。

「あんなところに登れるわけが……」

 フィオナは否定しようとしたが、よくよく見ると、一本だけかすかに揺れている木がある。
 近づいて見上げると、確かに地面から一番近い枝の上にオリバーが乗っていた。

「オリバー! 危ないじゃないの!」
「みつかっ……た!」

 オリバーが慌てて、木から下りようとする。

「駄目よ、危ない」
「へいき」

 オリバーは、意外にも、小さい手で器用にくぼみを掴んで下りてくる。

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