イケメン御曹司に求婚されてます！？〜前世の恋人は今世では私を離さない〜

【今世】
〇愛羽の家

聞きなれた目覚ましの音がなり、ベッドの上で、ハッと目が覚める。

愛羽「またあの夢、、、」

ため息をつき、上半身を起こす。

誰かが自分の名前を繰り返し呼ぶ 。
そんな夢をここ数年、何度も見ている。

ベッドから降りる。家に1人ということもありベッドの軋む音がやけに大きく聞こえた。

朝ごはんを短時間で済ませ、学校に持っていく弁当を手際よく作る。

お父さんが残した多大な借金を返済するためにお母さんは朝から晩まで働いていて、会うことは少ない。

愛羽「最後にお母さんに会ったの何日前だっけ」

そんなことをつぶやきながら胸下まで伸びた黒髪を括る。

毎日見る夢に出てくる誰か、、。
彼もまた、黒髪だった気がする。

毎日見ているというのに、顔はおろか、どんな格好をしているかさえもはっきりとは分からないけれど。

愛羽「いってきます」

支度を終え、誰もいない家に向かって声をかける。

築数十年のアパートだからか最近、前よりもサビが増えてきている気がする。

ドアを開けると、雲ひとつない青空が広がっていた。