運命
 別れるか別れないか。
 どちらがいいかなんて、頭では分かっているはずなのに、どうしてもその選択ができない。
 別れずになんとかならないか。そればかりを考えてしまう。
 そうよ。だって和也の心はまだ私にあるに違いない。でもセックスがしたいのよ。
 だというのなら、私は自分を与えるしかない。それで和也を繋ぎとめられるなら。
 私は悩んだ挙句、和也に身体をゆるした。
 和也はそれ以来、以前よりさらに私に優しくなった。

「彩美、愛してるよ」

 そんな言葉を何度もささやかれた。

 私はこれで良かったのか、分からないままに日々を過ごした。
 繋ぎとめるのには成功したけれど、和也がいつまた浮気心を抱くか分からない。常に不安はつきまとう。

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