【短編】メルティングギフト
璃愛の口から長い溜め息が漏れた。

どうやらその年は両親に負担をかけまいと、欲しかった物を我慢したという。


私も妹に気を遣って2番目に欲しい物で妥協したことがあるから、気持ちわかるなぁ。

それに男兄弟が多いなら食費もかかるだろうし。日頃から我慢してるかもしれない。

やっぱりどこの家庭も、下の兄弟がいると気苦労が絶えないよね。



「ねぇねぇ、その話、詳しく聞かせてくれない?」



同情していると、聖奈ちゃんが話しかけてきた。



「いきなりごめんね! 値段が気になって来ちゃった」

「あっはは。ビックリだよね。聖奈ちゃん、スマホ新調するかんじ?」

「ううん。私じゃなくて弟がね。今キッズ携帯なんだけど、来年中学生になるから買い替えたいって言ってて。その15万円のスマホはいつ頃買ったの?」

「去年の秋。ちょうど今月で1年経つよ。機種はね……」



スカートのポケットからスマホを取り出して、画像検索を始めた璃愛。

画面を覗いてみると、映っていたのは私が使っている機種のハイスペックモデルだった。
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