【短編】メルティングギフト
上目遣いで様子をうかがう。


時永先生が教えてくれた情報を参考に、昼食の時間を使って観察することにした。

最初は普通に会う予定だったんだけど、せっかくなら少しでも時間が長いほうが探しやすいかなって。

あと、心理学的にも、食事中はお願い事を聞いてもらえる確率が高いらしいから。



『はい、ぜひ。明日は4時間目体育でバタバタしそうなので、来週からでいいですか?』

『うん! ありがとう!』



第一関門を突破し、心の中でガッツポーズをした。


作戦はこう。

まずはおかず紹介とともに、好きな食べ物を教え合う。

その流れで、色や音楽など、徐々に範囲を広げていき、買い物の話へ移行。

食べ終わるまでになんとか話を上手い具合に繋げて、満腹になったところでさりげなく尋ねる。

うん、我ながらナイスアイデア。


謎の自信をまとい、話を進めること数日、場所は校庭近くの東屋に決まった。

心身ともにコンディションをバッチリ整えて当日を迎えたわけなのだけど……。



「全然出てこないよ……」
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