【短編】メルティングギフト
いつもなら面接の練習や小論文の添削とかで忙しいんだけど、今週は中間テストの前の週。職員室は立ち入り禁止。

部活動も停止中で校庭には誰もいないので、人目を気にせず会えると思って誘ったんだ。



「あ、久代くんも英語?」

「はい。今日少し難しい文法が出たので。もしわからなかったら聞いてもいいですか?」

「もちろん! できる限り教えるね!」



……というのが、表向きの理由。本当はかっこいい姿を見せたくて誘った。


正直英語は苦手。

だけど、あえて苦手分野に挑戦することで、自分も頑張ろう! と、向上心を刺激させられるんじゃないかなって。

日々の授業に加え、塾でもじっくり教わってるからなんとかなる! はず。


テスト範囲のページを開き、赤丸をつけた部分をチェック。

単語や文法ごとにルーズリーフに書き写したら、次は教科書の例題を参考にプリントを解いていく。


よし、今のところかなり順調。このまま全問解けば──。



「先輩、そこ、ウエイトじゃなくてウェイじゃないですか?」
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