【短編】メルティングギフト
「惜しい。チョコ味のキャラメルです。プレーン味と迷ったんですけどこっちにしました。先輩、チョコ好きですし」

「覚えててくれてたの⁉」

「当然ですよ。彼氏なんですから」



自信満々に答えた後、ふふふと小さく笑った久代くん。


クール系の顔立ちに、普段はもの静かでおとなしいタイプ。

第一印象は、ミステリアス、とっつきにくそう。

なんだけど、性格はとても優しくて、私と一緒にいる時は柔らかい表情を見せてくれるんだ。



「寒いだけあって日が暮れるのも早かったです。6時前なのに真っ暗でしたもん」

「わかる! 私も去年、友達と2人で冬みたいだねってビックリしてた!」



お土産話を楽しみながら裏門へ向かう。


9月に入ったばかりの頃は、セミの鳴き声が聞こえてきたり、真夏日があったりと、まだ夏の名残りが感じられた。

しかし、ここ3週間で、虫はコオロギ、気温は夏日へと変化。

寝苦しい熱帯夜もなくなり、本格的な秋に突入した。
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