【短編】メルティングギフト
「先輩? どうかしました?」



うっとりしていたら目が合い、ハッと我に返る。



「ううん! なんでもないよ!」

「そう、ですか? すごく凝視してたので、何か聞きたいことがあるのかなと思ったんですけど……」



どうしよう。見てたの完全にバレてる。


変に気を遣わせないためにも、ここは正直に答えるほうが適切なのだろう。

けど……妄想してたなんて、口が裂けても言えない。集中的が足りないと思われる。

かといって嘘をつくのは心苦しいし、先輩としてあるまじき行為だもんな……。



「えと……久代くんは、50キロある女の子ってどう思う?」

「体重が、ですか?」

「うん。女子は気にしてる人多いからさ。リアルな男子の意見を聞いてみたいなぁって」



プリントを指差して説明するも、言い訳がましく聞こえる。


ごめんね久代くん。こんなセンシティブな話題、答えづらいよね。無茶ぶりすぎる先輩で本当にごめん。

でも私もあと2キロで50キロだから、ちょっと知りたい気持ちもある。
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