【短編】メルティングギフト
うぐぐ、また見られてた。



「もしかして、わからない問題でもありました?」

「……うん。この読み方と意味なんだけど……」



ペンで問題を指しながらプリントを見せる。


1問目から間違えるという失態をおかした前回。
もう同じ失敗はしないと固く決心したのに、結局また教えてもらうって。

こんなことなら最初から堂々と調べれば良かった。


丁寧な解説のおかげで、その後は詰まることなく進んだ。

休憩時間に入り、おやつで小腹を満たしているのだけど……。



「もうすぐハロウィンですね。先輩は仮装したことありますか?」

「うん。小学生の頃に妹と2人で魔女の仮装したことがあるよ」

「いいなぁ。僕も姉ちゃん達と一緒にやったことがあるんですけど、女の子の仮装だったんですよね」

「えっ、女装したの?」

「はい。姉ちゃん達が好きだったアニメキャラで、ヒロインが三姉妹だったんです。それで無理矢理末っ子役をやらされて。幼稚園の頃だったかな」

「あらら。お姉さん昔からパワフルなんだね」
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