【短編】メルティングギフト
チョコを口に入れた後、テーブルの下で手の甲を擦りながら貧乏ゆすりをする。


ううっ、さっきまでは暑いくらいだったのに。汗が引いたからか、急に寒くなってきた……っ。


水筒のお茶で温めようと試みるも、ぬるくなっていて効果は得られず。

平気と言った手前、今更場所変えようなんて言い出せない。でも我慢するのも良くない。

こうなったら、トイレに行ってズボンを穿いてこよう。見栄えは悪いけど、見栄張って体調崩すよりかはマシだから。


体操服を入れたバッグに手を伸ばしたその時、肩に何かがふわっとかけられた。



「え、これ……」

「カーディガンです」



いや、それはわかるよ。私が聞きたいのは……。



「なんで、急に?」

「寒そうにしてたので。手も少し血色悪いですし」



言い当てられて思わず目を見開く。


飲み食いする時以外はずっと隠してたのに、いつ気づいたの? 勉強中? プリント見せた時はそこまで酷くはなかったよね?

会話だって普段通りだったし。そんなに顔に出てたのかな……。
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