【短編】メルティングギフト
感情表現が豊かなせいで、気持ちを隠すのがちょっぴり下手なところとか。
真っ直ぐすぎて、時々1人で突っ走っちゃうところとか。
本当、那須先輩って──。
「じゃあ私、そろそろ行くね! またらいしゅ……うわぁぁ!」
微笑ましく見ていたら、水たまりで足を滑らせてバランスを崩した。とっさに彼女の腕を掴み、もう片方の手で肩を支える。
「大丈夫ですか?」
「うん……ごめん、ありがとう」
「良かった。ここ、ちょっとぬかるんでるので気をつけてくださいね」
昔も今も、いい意味で先輩っぽくない。
*
那須先輩と出会ったのは去年の6月。
『あの、すみません。委員会の方ですか?』
いつも待ち合わせしてる校舎裏で話しかけられたのが始まり。
その時、美化委員の活動で校内を掃除しており、ゴミ回収係を任された俺はゴミ捨て場を探していた。
のだが、まだ入学して2ヶ月。
校内案内はしてもらったものの、東屋や駐輪場などの施設以外の場所は教えてもらっておらず、彷徨っていた。
真っ直ぐすぎて、時々1人で突っ走っちゃうところとか。
本当、那須先輩って──。
「じゃあ私、そろそろ行くね! またらいしゅ……うわぁぁ!」
微笑ましく見ていたら、水たまりで足を滑らせてバランスを崩した。とっさに彼女の腕を掴み、もう片方の手で肩を支える。
「大丈夫ですか?」
「うん……ごめん、ありがとう」
「良かった。ここ、ちょっとぬかるんでるので気をつけてくださいね」
昔も今も、いい意味で先輩っぽくない。
*
那須先輩と出会ったのは去年の6月。
『あの、すみません。委員会の方ですか?』
いつも待ち合わせしてる校舎裏で話しかけられたのが始まり。
その時、美化委員の活動で校内を掃除しており、ゴミ回収係を任された俺はゴミ捨て場を探していた。
のだが、まだ入学して2ヶ月。
校内案内はしてもらったものの、東屋や駐輪場などの施設以外の場所は教えてもらっておらず、彷徨っていた。