【短編】メルティングギフト
偶然にもお互いゴミ袋を持ってたから尋ねてみたんだけど、先輩も探してる最中で。近くにいた先生に助けを求めて終えた。


第一印象は、笑顔が可愛い女の子。

当時はショートヘアだったので同い年だと思っていた。ゴミ捨て場の場所も知らなかったし。


それから3ヶ月が経ち9月。

風紀委員になり、朝の挨拶運動に参加したら、那須先輩と再会した。

といっても、交わしたのは「また会いましたね」だけ。

そのあとも何度か当番で一緒になったのだが、挨拶のみ。2人で話すことは1度もなく終わった。


そして3学期……今度は図書委員として再会。

さすがに3度目となると、もう笑うしかないよね。

ちなみにここで上履きの色が違うことに気づき、彼女が先輩だと知った。


まぁ、ずっと敬語だったから慌てはしなかったけど、先輩は俺のことを年上だと思ってたらしくてビックリしてたっけ。

あの時の顔、めちゃめちゃ面白かったな。


それがきっかけで打ち解けあえて、毎週図書室で会うようになった。

春休みに入る頃には連絡先を交換し、より親密な仲に。

最初は一緒にいて楽しいって感覚だったけど、次第に、誰にも渡したくないという独占欲が生まれてきて……そこで先輩が好きだと自覚した。
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