【短編】メルティングギフト
チャイムが鳴るやいなや、急ぎ足で教室を出て駐輪場へ。

小走りで自転車を押しながら正門に向かい、学校を後にしていく生徒達を凝視する。



「那須先輩っ!」



しばらく待っていると、自転車を押して歩く彼女を見つけ、声をかけた。

案の定目がまん丸になっており、年齢を教えた時以上に驚愕している。



「く、久代く……どうしたの?」

「今朝メッセージ送ったんですけど、未読のままだったので」

「え、そうだったの? スマホ置いてきちゃったから知らなかった」



予感的中。先回りして正解だった。



「心配かけてごめんね」

「いやいや、僕こそ急に送ってすみません。あの、良かったら途中まで一緒に帰りませんか?」



誘いを持ちかけると、再び目が丸く見開かれた。


秘密の関係なのに、人目につく場所で話して大丈夫? 噂にならない?

という戸惑いの気持ちから即答できないのだろう。

現に今、視界の端で、生徒達がこっちをチラチラ見ながら通過しているから。
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