【短編】メルティングギフト
だけど、今はそんなことより、目を泳がせて俺の顔を全く見ようとしないところが気になってしょうがない。

……怪しい。



「もしかして、都合悪かったですか? それともどこか具合が悪いとか……」

「ええっ⁉ いやいや全然! 元気だよ! ちょっとお腹が空いてるだけ!」



笑顔で手を振ってるけど……これ、絶対空元気だよな。

たった空腹だけで、普通こんなあからさまにバツが悪そうな反応しないもん。



「その……明日、英語のテストがあるから、早めに帰りたいの。夜からは塾もあるし、昼間のうちにじっくり勉強したいなって」



理由を知り、一昨日見た光景を思い出す。


そういえば、時永さん、塾では英語を担当してるって言ってた気が。

だとしたら、あの時話してたのは勉強関連のこと?

先輩、英語苦手っぽかったし、相談に乗ってもらっていたのかも。勝手に顔触ってたのは気に入らないけど。


帰りながら真相を確かめるつもりだったが、深入りするのは良くない。ここは先輩の気持ちを優先しよう。
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