【短編】メルティングギフト
で、いたんだけど……残念なことに、両日とも中間テストの日とかぶっちゃって、泣く泣く断念。

ただ、誕生日だけは最終日なので、放課後の時間を使って祝おうと思っている。


悩む姿も絵になるなぁと、端正な横顔を見つめていたら。



「……時間、ですかね。先輩と一緒に過ごせるだけでも充分嬉しいです」



気を遣ったのか、無形のものを要求してきた。



「えええっ⁉ 本当にそれでいいの⁉」

「はい。受験の準備で忙しい中、プレゼント探しに時間を割かせるのは申し訳ないので。先輩、休日も塾に通ってますし」



さすが首席入学者&成績学年トップ保持者……!
気遣いまでも優等生すぎる……っ!



「気持ちはありがたいけど……初めての誕生日イベントだから、ちゃんと祝いたいよ」



受験生ならば、交流の頻度が少なくなっていくのは付き合う前からわかりきっていたこと。

だけど、それを理由に1年に1度の大切な日を蔑ろにしたくはない。
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