【短編】メルティングギフト
とうとう3時間目終了のチャイムが鳴ってしまった。

まるで私達の終わりを告げているように聞こえて、徐々に目が潤んでいく。


……もう、ダメなのかな。返事がないのが返事って、よく言うし。

無視されたまま終わるのは辛い。
けど、これが久代くんの出した答えだから。ちゃんと受け止めなきゃいけない。

でもせめて、誕生日は直接祝いたかったな……。


涙が乾くのを待っていたその時──遠くのほうから、パタパタと誰かが走ってくる音が聞こえてきた。



「那須先輩……っ!」



顔を向けると、そこには待ちわびていた人が息切れしながら立っていて。



「久代く……」



名前を口にした途端、涙が一筋流れ、感情が溢れ出した。



「もう、遅すぎるよ……! なんでこんなに遅れたの⁉」

「すみませんっ。今日3教科だったので……。もしかして、ずっと待ってたんですか?」

「そうだよ! 久代くん、全然返事くれないから……っ」
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